（里正の塚に展りて感有り）

空門秋草鬱芋芋

佇立塚前思宿縁

物換星移名不滅

祖先偉業古今傳

                           （七言絶句・下平声一先韻）

空門の秋草、鬱として芋芋（せんせん）たり

塚前（ちょうぜん）に佇（たた）み立ちて、宿縁を思う

物換り星移れど、名は滅せず

祖先の偉業、古今に傳えん

語意　里正＝庄屋の漢名。空門＝万物みな空を説くことから仏門を云う、この場合成君寺を指す。鬱芋芋＝草が鬱蒼と生い茂るさま。佇立＝佇み立つ。塚前＝十一庄屋の首塚。宿縁＝前世からの因縁（佛語）物換星-世の中が移り変わる。偉業＝業績、事跡、偉勲。古今傳＝ に伝えよう。

作意について 
里正の塚の辺りを軽く描写して、塚前に立った作者と亡き人の関係を、説明しながら思うことをのべた。それは世の中が移り変わろうと（三百九十年祀、その歴史）その名は消えることなく祖先の、偉業が、讃えられているという感じを得たという作意です。